予祝日記 ー勉強を習慣化するためにー

この記事の対象となる電験界隈の方
勉強を毎日継続できない
勉強をする/しないがその日のやる気で決まる
仕事でクタクタになるので勉強をする気がおきない方

 

この記事を読んで分かること
勉強を習慣化する方法が分かります
仕事の疲れに負けない集中力が手に入ります

 

結論

〇勉強の習慣化につながる予祝日記
 ・予祝日記はアイビ・リー・メソッドの簡易版である

〇集中力の源はウィルパワー

 ・ウィルパワーは選択を決断する意思、すなわち「理性」を司る
  →ウィルパワーが少なくなると「本能」>「理性」となる
 ・ウィルパワーは有限な量である。1日単位でしか保持できず、睡眠で回復する
 ・ウィルパワーは集中力を使う(選択をする)毎に消耗する
  →たくさん選択肢があると、決断しなくてもどんどん消耗してしまう

集中力を高めるカギは、ウィルパワーの「増量」と「節約」
 ・予祝日記はウィルパワーの「節約」に大きく貢献し、「増量」のきっかけづくり
 ・なぜ朝?→ウィルパワーが多いうちに実行するので継続が容易
 ・なぜ日記?→その日の行動の選択肢を減らす

 ・なぜ予祝?→過去形なので達成できなくてもストレスにならない

はじめに

今回は勉強を習慣化するための具体的な方法として「予祝日記」を紹介させていただきます。

「予祝日記」という言葉をインターネットで調べると、「言霊」とか「オーラ」とかいうスピリチュアル的な内容が出てきます。

このブログでは、これからマインドセットやメンタルケアに関する記事を紹介していきますが、できるかぎり脳科学に基づく情報をベースにした内容にしてきます。

このサイトの管理人KWG(カワジ)は技術者なので、エビデンスがない情報は信用できません。

スピリチュアルという概念を否定するつもりはありませんが、現在において根拠をもとにした言語化ができない事象=スピリチュアルと管理人は考えています。

技術に関わる読者の皆様が納得できることを心がけて、以下解説をしていきます。

参考文献

本記事を作成するにあたり、以下の文献を参照させていただいております。
この記事を読んで興味を持っていただいた方は、以下の文献も是非読んでみてください。

DaiGoさん 「自分を操る超集中力」

DaiGoさん 「ストレスを操るメンタル強化術」

川野泰周さん 「集中力がある人のストレス管理のキホン」

予祝日記

電験どうでしょうのTwitterで紹介しました予祝日記ですが、以下のルールで運用してもらうことが重要です。

<予祝日記のルール>
 1.予祝日記はその日の朝(出社前)に必ず書き終える
 2.今日やりたいことを数個考える
 3.過去形で書き出す(した。できた。など)
 4.最後に「いい1日だった!」で締める

まとめると、朝起きたらその日やりたいことを数個考えて過去形で書き出すというのが私が推奨する予祝日記のルールです。

その日の計画を書き出すことになるので、日記というかTo Doリストの役割を果たします。
端的に言うとTo Doリストを過去形にしたのが予祝日記です。

この予祝日記は「アイビ―・リー・メソッドの簡易版」として機能し、あなたの一日の行動の生産性を上げ、就寝時の疲労感を低減するという効果が得られます。

 

アイビー・リー・メソッドって?

アイビー・リーさんは20世紀前半に活躍した経営コンサルタントで、後に「PRの父」と呼ばれるようになった人物です。そんな彼が、当時、アメリカ最大の鉄鋼会社であったベツレヘム・スチール社に対して、経営効率の改善方法として提案したのが、アイビー・リー・メソッドです。

ベツレヘム・スチール社の社長に提案した方法は、その所要時間はわずか20分。ポイントは以下の6つだけです。
 1.紙に「明日やるべきこと」を6つ、メモする
 2.その6項目を重要だと思われる順番に1、2、3、4、5、6と番号を振る
 3.翌日、このメモの順番に従って仕事を進める
 4.もし全部できなかったら、悔やむことなく忘れる
 5.その後、明日のための6つの項目を新しくメモする
 6.1~5をくり返す

前日に次の日のTo Doリストを作るわけですね。
アイビー・リー・メソッドの一番のポイントは4番目の「忘れる」という部分です。

アイビー・リーさんは、積み残しを気にする人々に対して、こう語っています。

「結果的に1つか2つしかできなかったとしても気にしてはいけません。
あなたはその日に一番大切だと思っていた仕事を済ませたのですから」

全部できなくても気にしなくていい、優先度の高い仕事を書き出し、日々の情報を更新していくことが大事だ。

ということをアイビー・リーさんは言いたかったのでしょう。

To Doリストを過去形にしたのが予祝日記だと先に説明しましたが、この「過去形」という部分がアイビー・リー・メソッドの「忘れる」と同じ効果を持っています。

予祝日記とウィルパワー

予祝日記はその日To Doリストを過去形で書き出したものであり、アイビー・リー・メソッドの簡易版という紹介をさせてもらいました。

そもそも、To Doリストにどのような効果があるのでしょうか?
その有効性を脳科学の観点で解説していきます。

ウィルパワーとは

私たちは日々の生活の中で、なにかをやる、なにかをやらない、なにかを望むという選択肢から行動という決断を絶えず行っています。
選択肢からの決断という機能は脳の前頭葉という部分が担っています。

前頭葉は、ヒトをヒトたらしめる思考や創造性を担う脳の最高中枢であり、ウィルパワー(意志力)の源となります。

ウィルパワーとは思考や感情をコントロールする力です。
人間だけが有し、他の動物にはない「理性」こそがウィルパワーの根源であり、本能や感情に流されず特定の行動に専従することは「集中力」と呼ばれます。

人間は五感から得られる情報と過去の記憶という膨大な情報の中から、理性という独自の判定基準をもって、その瞬間の行動を決断しています。

膨大な情報からの選択と決断、そのときに使われるエネルギーがウィルパワーです。

選択と決断をくり返すうちにウィルパワーはどんどん消耗していきます。
ウィルパワーが少なくなると、「本能」優位すなわち「本能」>「理性」という大小関係になり、
選択の判定基準が「本能」に移ります。

この状態になると理性が働かなくなるので、精神的不安、身体の疲労、その他の誘惑が優先され、ストレスを感じる作業は「やらない」と決断されます。

勉強やダイエットのような心身にストレスを与えるような作業に関して、やる気があるからやってみよう、やる気が出ないから今日はやめておこうと感じるのは、その行動を実行する前のウィルパワーの残量に依存するということになります。

ここまでの話を一度まとめます。
 ・前頭葉が選択と決断(理性)を担う
 ・選択と決断によりウィルパワーが消耗される
 ・ウィルパワーが少なくなると本能が優位になる
 ・本能が優位になるとストレスを感じる作業は「やらない」と決断される

というわけで、本能に負けず理性により行動をするためには、十分なウィルパワーが確保できないといけません。

ストレスが多い作業ほど多くのウィルパワーが必要になるので、勉強が苦手な方は相当量のウィルパワーが必要になります。

さらに、ウィルパワーは1日単位でしか保持できず、睡眠で回復するという仕組みになっています。

なので、朝から晩までクタクタになるまで働いて、帰宅してから苦手な勉強に手をつけようとしても、ウィルパワーはほぼ空っぽなので、脳は本能優位となり「勉強をする」という行動を完全にシャットダウンされます。

大事なことを言いますね。

仕事を終えてから勉強できないのはあなたのせいではありません
勉強をあきらめた自分を否定する必要は一切ありません。

むしろ、今日一日ウィルパワーを使い切るまで仕事をやり切った自分をきちんと肯定してあげてください。

ウィルパワーがない状態は本能優位になっているので、その状態で自分を否定するようなネガティブな思考に陥ると、ネガティブな気持ちがどんどん増幅されます。

結果、眠れない。
眠れないから、お酒に走る。深夜にドカ食いする。動画を見続ける。変なテンションで課金ガチャをむやみに回す。

ダークサイドに陥ってしまいます。(私もそういう時期がありました)

勉強ができたかどうかなんてどうでもいいです。
まずは自分を肯定してあげてください。

日本人ほど献身的に責任感を持って長時間仕事ができる人種は世界にいません。
所得はともかく、あなたは間違いなく世界最高水準の意識で仕事をしています。

職場には、自分より仕事ができる人、仕事ができていないと指摘する上司はいると思います。
でもそれはあなたがいる環境の中での比較です。
世界規模で見たら小さな小さな閉じた世界の話です。

あなたが今日一日で成し遂げた仕事の成果は、全世界規模でみたら間違いなく上位集団にあたります。

世界規模で見たとき、あなたは必要な人間であることを自覚し、今日一日仕事を成し遂げたとこに胸を張ってください。
(なんか、スピリチュアルな感じの文面になってきましたが、事実を書いているだけです。ご理解ください)

ちょっと話が逸れましたが、疲れた体でかつ暗い気持ちではストレスを感じる作業はできないので、
自分を肯定するという土台作りは最低限必要だということを理解ください。

さて、勉強をするためには、仕事を終えた段階で行動に移すためのウィルパワーを十分確保する必要があるわけですが、そのために以下のアクションが考えられます

(1)ウィルパワーを基礎量を増やす(仕事を終えても余るくらいまで原資を増やす)
(2)ウィルパワーを節約する(仕事で使うウィルパワーを節約する)
(3)勉強に必要なウィルパワーを減らす(勉強に対してストレスを感じなくする)

今回テーマとして取り上げている予祝日記/To Doリストは主に(2)の効果があります。

ウィルパワーを節約するとは

ウィルパワーについて振り返ると「選択と決断によりウィルパワーが消耗される」という特性があります。

この特性を紐解くと、自分がどれだけウィルパワーを無駄遣いしているかということが分かります。

ここでいう「選択」と「決断」というのは、AとBどちらかを選ぶということだけを意味していません。AとBどちらかを選ぶことを「保留にする」という選択肢も存在し、保留を選ぶことも「決断」となります。

例えば、デスクでメールチェックをしていて、ふと「あの発注は今週中に業者に電話しないといけないな」とか、「今日の夕方には昨日の作業報告書出さないといけないな」など、今行っている作業とは別の仕事のことが脳に浮かんでくることがあると思います。

それ以外にも、自分の右手側にスマホが置いてあると、手に取らずともスマホに目がいったり、自分の左側に積み上げれた書類の山が邪魔だなと思ってときどき気になったり、自分はメールチェックに専念しているつもりでも、脳はこの過程でたくさんの選択と決断を行っています。

業者に電話しなくていいの?
報告書を書かなくていいの?
スマホに連絡来てない?
書類かたづけなくていい?

脳はこれらのことをあなたに絶えず問いかけ、都度、選択と決断を実行し続けます。

今はやるつもりはないと感覚的思っていても、脳はそのうち必要だという情報しか知らない(はっきり決まっていない)ので、そろそろ必要なんじゃないの?と問いかけてくるわけです。

その結果、不要な「保留にする」という選択と決断をくり返し、ウィルパワーを消耗し続けます。

この浪費を無くすことができれば、仕事が終わってもウィルパワーは余っている気がしませんか?

とはいっても、身の回りの整理整頓を行い、あらゆる仕事を保留にせず、今の仕事のみに専念できる環境を実現するというのは不可能です。

だけど、「この作業をやりたいんだ」という明確な優先順位をつけて、余分な仕事を選択しから外すことはできそうじゃないですか?

この状態を可能にしてくれるのが「To Doリスト」です。

今日の仕事についてTo Doリストを作ることができれば、帰宅後、勉強をする余裕がうまれ、十分なウィルパワーを持ち帰ることができます。

でも、ほんとにそこまで必要ですか?

ストレスを感じる勉強のために、仕事の計画の段階から帰宅後の勉強まで視野に入れたTo Doリストを作るなんて、それこそストレスじゃないですか?

そこまでのことができてるなら、とっくに勉強が生活の一部になっていますよね。

例えば、今日仕事が終わったら、恋人と食事に行く、野球観戦に行く、買い物に行くなど、何かしらイベントがあったら、自然とそれを意識して仕事の段取り考えますよね?

ということは、帰宅後に勉強というイベントがあるということだけあらかじめ脳にセットしておくだけで効果があるんです。
たかだか勉強のために、一日の計画をきっちり作るようにな労力を使う必要がありません。

「今日帰ったら勉強をする」その意識を持つだけで、ウィルパワーの節約ができ、仕事が終わっても勉強をするだけのウィルパワーが余っている可能性が高くなります。

そして、ウィルパワーの節約をする最もシンプルな方法こそが「予祝日記」となります。

予祝日記はなぜ「朝」なのか?

日記を書くにもウィルパワーを使います。
会社に着いてからPCを立ち上げている最中や、コーヒー休憩中にも予祝日記を書くこともできますが、すでに脳も体も仕事モードになっているに、帰宅後の勉強のことに考えを切り替えるのは結構大変です。

電車通勤の方は、帰りの電車の中で予祝日記を考えることができますが、頭も体もクタクタな状態で、これやかやる勉強の計画を立てたくないですよね。

ということは仕事を始める前に予祝日記を書くのがいいんです。
起床後ならウィルパワーも満タンです

仕事が始まるとウィルパワーはどんどん減っていくので、予祝日記を書く確率が下がっていきます。
「後で書こう」と先送りすると、保留にするという選択肢が頭に残るので、予祝日記のせいでウィルパワーが減ってしまいます。

というわけで、予祝日記は朝書くのが最適です。

予祝日記はなぜ「書く」のか?

人間はアウトプットをすることで、その情報が長期記憶として残るようになります。

頭で考えているだけでは、なんとなく情報がふわふわ漂っているだけで、ずーっと覚えておこうとしても、ふと思い出そうとしたときなかなか思い出せないということはよくあります。

目に見える形のアウトプットにし、できれば声に出して読む。
そこまでしておくと、長期記憶として脳に残ります。

今日やらないといけない/やりたいと思うことは長期記憶に残ることで、
その記憶は他の選択肢に比べて優先度の高いものとして扱われます。

その結果、仕事をしている最中も、余力を残して帰宅したいという気持ちが芽生えて、普段よりも効率的に仕事ができるようになります。

帰宅後の予定がないと、今日中に終わればいいやという気持ちの仕事をしてしまいますが、予定があると、何時までに区切りをつけたいなという気持ちに切り替えられるようになります。

日記を書くというアウトプットにすることで、脳は効率的に仕事をするための手助けをしてくれます。

予祝日記はなぜ「予祝」であるべきなのか?

勉強のためのTo Doリストを過去形の日記で記述したものが予祝日記となるわけですが、なぜ予祝か?なぜ過去形か?

この部分こそがTo Doリストとの大きな違いであり、予祝日記の最大の特徴となります。

To Doリストを作ってみたところで、最初から自分の余力に合った計画を作るのは難しいんです。

張り切って、あれもやるぞ、これもやるぞとTo Doリストを作ってみても、最初からすべて達成するのは難しいものです。

しかも、うまくいかないとTo Doリストそのものがストレスになり、To Doリストを作ることにウィルパワーを使い、仕事中にTo Doリストを思い出すことでさらにウィルパワーを使ってしまいます。

その結果、一番肝心な勉強を継続するという目標が達成できなくなります。

ということは、To Doリストがストレスを与えてしまうようなものであってはいけないんです。

そこで、To Doリストを「過去形」で作るという部分が大きな意味を持ってきます。

・理論の過去問を3問解く
・磁気回路の公式を覚える
・テブナンの定理が使えるようになる

こんな感じのTo Doリストを、過去形に変えてみます。

・理論の過去問を3問解いた
・磁気回路の公式を覚えた
・テブナンの定理が使えるようになった

どうですか?過去形に変えることで、誰かのツイート見ているような感覚になりませんか?

To Doリストの目的はやることの明確化であって、その言葉に強制力が付加される必要はありません。

To Doリストの項目を現在形の文書で作ると、どうしても主体性と必然性が強くなります。
しかし、過去形で書くと、客観性と任意性が強くなります。

To Doリスト通りにできなくてもいいです。
最も大事なことは継続することです。

最初からうまく計画を作ることなんてできないので、いろいろ試行錯誤して、自分のワークライフスタイルに合った勉強の習慣を身につけることが最も重要です。

そしてもっとも残念なことは、そこに至る前にストレスを感じてあきらめ、自己嫌悪に陥るというネガティブな成果しか得られないことです。

最初からトップアスリートが行うゴリッゴリのワークアウトに挑戦する必要はありません。
ラジオ体操から、屈伸運動からでいいんです。
継続していく中で、トレーニングの負荷は勝手に増やせるようになっていきます。

勉強を継続するための第一歩として、予祝日記をつけることを私はおすすめします。

 

結論

〇勉強の習慣化につながる予祝日記
 ・予祝日記はアイビ・リー・メソッドの簡易版である

〇集中力の源はウィルパワー

 ・ウィルパワーは選択を決断する意思、すなわち「理性」を司る
  →ウィルパワーが少なくなると「本能」>「理性」となる
 ・ウィルパワーは有限な量である。1日単位でしか保持できず、睡眠で回復する
 ・ウィルパワーは集中力を使う(選択をする)毎に消耗する
  →たくさん選択肢があると、決断しなくてもどんどん消耗してしまう

集中力を高めるカギは、ウィルパワーの「増量」と「節約」
 ・予祝日記はウィルパワーの「節約」に大きく貢献し、「増量」のきっかけづくり
 ・なぜ朝?→ウィルパワーが多いうちに実行するので継続が容易
 ・なぜ日記?→その日の行動の選択肢を減らす

 ・なぜ予祝?→過去形なので達成できなくてもストレスにならない

最後に

今回は「予祝日記とウィルパワー」について解説させていただきました。

「予祝日記の効果」と「ウィルパワーの役割と特徴」を脳科学の観点で解説し、
勉強を継続に予祝日記が大きな価値をもつことを紹介しております。

目標に向かって課題を設定し、勉強を継続する方法は人によって相性があるので、
今後も継続して「どうブロ」では具体的な勉強法を紹介していく予定です。

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