H27 問07


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解説

直流回路の負荷に関する問題です。

抵抗以外のコンデンサ、コイルを含めた素子を直流回路に接続した場合、どのように振る舞うかの理解が問われます。

苦手だと感じる方はこの問題を機に理解を深めましょう。

(1)直流電圧源と抵抗器、コンデンサが直列に接続された回路のコンデンサには、定常状態では電流が流れない。→〇

いろんな解説がありますが、交流回路でのコンデンサのインピーダンスをもとに考えるのが
一番シンプルだと私は思っています。

交流回路でのコンデンサのインピーダンスは、
$$R_C=\frac{1}{j\omega C}$$
と表せます。

直流ということは、角周波数\(\omega=0\)と考えて構いません。このとき\(R_C\)の分母は0になるので、
\(R_C=\infty\)となります。抵抗が無限大になるので、回路に電流は流れません。

(2)直流電圧源と抵抗器、コイルが直列に接続された回路のコイルの両端の電位差は、定常状態では零である。→〇

先の問題と同じように、交流回路でのコイルのインピーダンスをもとに考えます。

交流回路でのコイルのインピーダンスは、
$$R_L=j\omega L$$
と表せます。

直流なので、角周波数\(\omega=0\)と考えると、\(R_L=0\)となります。
従って、コイルには電圧が印加されないので、両端の電位差は0となります。

(3)電線の抵抗は長さに比例し、断面積に反比例します。→〇
電線の抵抗は以下の公式で表せます。
$$R=\rho\frac{l}{S}$$
ここで\(\rho\)は抵抗率、\(l\)は電線の長さ、\(S\)は電線の断面積となります。

電線の断面積が小さい(分母が小さい)と、電流の通り道が細くなり、抵抗が大きくなります。
電線の長さが長い(分子が大きい)と、抵抗がある道を電流がずーっと通らないといけないので、抵抗は大きくなります。

という感じで、公式と現象のイメージを合わせて覚えることで、記憶の定着率は抜群にあがります。
是非参考にしてください。

(4)並列に接続した二つの抵抗器\(R_1\)、\(R_2\)を一つの抵抗器に置き換えて考えると、合成抵抗の値は\(R_1\)、\(R_2\)の抵抗値の逆数の和である。→✖

「並列の合成抵抗の逆数は2つの抵抗値の逆数の和」が正しいです。
$$\frac{1}{R}=\frac{1}{R_1}+\frac{1}{R_2}$$

(5)並列に接続した二つのコンデンサ\(C_1\)、\(C_2\)を一つのコンデンサに置き換えて考えると、合成静電容量は\(C_1\)、\(C_2\)の静電容量の和である。→〇

コンデンサの場合、直列接続と並列接続時の合成静電容量は以下のようになります。
<直列接続の場合>
$$\frac{1}{C}=\frac{1}{C_1}+\frac{1}{C_2}$$
<並列接続の場合>
$$C=C_1+C_2$$

文章だけではどこが間違っているかを見つけにくいと感じる方は、
指示通りに回路図や数式を書いてみるのがいいでしょう。

参考になれば幸いです。