H28 問18


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解説

振幅変調とその検波回路に関する問題です。

電波を使って情報を送る場合、
搬送波という空間を伝搬しやすい周波数の電磁波に、信号波という送りたい情報をくっつけます。

問題で取り上げらえれている振幅変調は英語表記でAmplitude Modulation。
AMラジオとして世の中に普及している伝送方式のこと表しています。

設問(a)

問題で与えられているグラフを見ると、正弦波の振幅が0.5~1.5倍の範囲で緩やかに振動していることが分かります。
振幅が1±0.5倍の範囲で振動しているので、この変調波の変調度は0.5となります。

振幅変調の変調波の振る舞いを数式で表すと、以下のようになります。
$$y(t)=a\left(1+\frac{1}{2}\sin\omega_st\right)\sin\omega_ct$$

この数式の1/2が変調度を表しています。
\(\sin\omega_st\)が信号波、\(\sin\omega_ct\)が搬送波になります。

式をよく見ると、搬送波の振幅の部分に信号波が置かれています。
つまり搬送波の振幅は信号波の周波数に合わせて振動することを意味しています。

すなわち搬送波の振幅を変動させるので振幅変調というのです。

信号波と搬送波の周波数を比べてみます。
問題で与えられているグラフを見ると、搬送波の振幅(すなわち信号波)が緩やかに振動しているので、
信号波の周波数は搬送波の周波数よりも低いということを表しています。

従って、式で表すと\(\omega_s<\omega_c\)という関係が成り立ちます。

設問(b)

問題では、検波回路として小難しい回路図が挙げられています。
要はアンテナのことです。

トランスやダイオードがついていますが、この問題ではRC回路の部分だけについて考えればよいので、
この部分に焦点を当てます。(添付画像の中央部の回路図)

このRC回路を使って、信号波と搬送波の成分を分解し、出力として信号波をできるだけ多く取り出します。

信号波と搬送波という電源があり、
信号波(電源)によってできる電流をできるだけたくさんRに流す。
そして、搬送波(電源)によってできる電流はできるだけたくさんCに流す。
と考えるとイメージしやすいです。

コンデンサのインピーダンスは\(Z_c=1/j\omega C\)となります。
角周波数\(\omega\)が小さいときインピーダンスは大きくなり、
角周波数\(\omega\)が大きいときインピーダンスは小さくなります。

RとCを並列に接続したとき、電流はインピーダンスが小さい方をたくさん流れるので、
コンデンサCの静電容量を小さめの値に設定しておきます。

信号波と搬送波の角周波数の関係が\(\omega_s<\omega_c\)となっていれば、
信号波に対してはコンデンサのインピーダンスは非常に大きく、電流はRに流れます。
搬送波に対してはコンデンサのインピーダンスは非常に小さく、電流はコンデンサに流れます。

以上より、抵抗Rにて信号波の成分のみを取り出すことができました。

あまり電験っぽくない問題ですが、AMラジオとして世の中で広く知られている技術です。
これを機に理解を深めていただければ幸いです。