H27 問06


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解説

ホイートストンブリッジに関する問題です。

スイッチを開閉しても電流が変化しない場合、以下の関係が成り立つは必ず押さえておきましょう。
$$R_1R_4=R_2R_3$$
斜め向かいの抵抗の積が一致するというのがホイートストンブリッジの特徴です。

この関係式さえ知っていれば、あとはガリガリ計算していくだけですが、
分配法則を使った式の展開と因数分解をうまく使って解を導出しないといけません。

中学校で習う数学の知識で対応できますが、荒々しさとしなやかさを兼ね備えた式変形が必要です。

苦手だという方もいると思います。自信を無くす必要はありません。
この手の問題がうまく解けるかどうかは慣れているかどうかだけです。

では導出していきしょう。

まず、ホイートストンブリッジの関係式を用いて、\(R_3\)と\(R_4\)の関係を導きます。
$$R_1R_4=R_2R_3 \rightarrow 8R_4=4R_3 \rightarrow 2R_4=R_3$$

つぎに、Sを開いた時の合成抵抗\(R\)と各抵抗素子の関係を式で表します。
$$R=\frac{(R_1+R_3)\cdot (R_2+R_4)}{(R_1+R_3)+(R_2+R_4)}=\frac{(8+R_3)\cdot (4+R_4)}{(8+R_3)+(4+R_4)}$$
$$=\frac{32+8R_4+4R_3+R_3R_4}{8+R_3+4+R_4}=\frac{32+8R_4+8R_4+2R_4^2}{12+3R_4}$$

というわけで、式の展開をしつつ、\(R_3=2R_4\)を代入するという計算をしました。
とにかく右辺を\(R_4\)だけの式にするという強い気持ちをもって、荒々しく式変形を進めます。

次に、合成抵抗\(R\)の値を求めます。電源電圧と、回路全体に流れる電流は分かっているので、
オームの法則を用いて以下のように導出できます。
$$R=\frac{E}{I}=\frac{10}{3}$$

計算結果が分数になりますが、この段階で少数に換算するのはやめましょう。

では合成抵抗\(R\)の値が分かったので、\(R_4\)の導出に進みます。
これまでの荒々しい計算とは打って変わり、しなやかさが必要になります。
$$\frac{10}{3}=\frac{32+16R_4+2R_4^2}{12+3R_4}=\frac{2(R_4^2+8R_4+16)}{3(R_4+4)}$$
$$\frac{10}{3}=\frac{2(R_4+4)^2}{3(R_4+4)} \rightarrow 5=(R_4+4) \rightarrow R_4=1\,\,\Omega$$

右辺は分子が\(R_2\)の2乗を項をもつ多項式なので、
因数分解をすれば約分ができると信じて式をじっと睨みます。
うまく因数分解することができれば、すっきりした式になります。

最初からあきらめて解の公式を使うつもりで式変形を進めるのはあまりおすすめしません。
本番の試験ならやむ無しですが、試験勉強中は閃きを育てることを第一に考えてください。

この習慣が積み重ねていくことで、本番の試験で自分の想像以上の能力を発揮できるようになります。

電気的な知識よりも、計算力が問われる問題です。
計算が苦手だと感じる方は、是非この解法を参考にしてください。

式変形をうまく使って、スムーズに解を求める爽快感を知ることができたら、
勉強が楽しいと感じることができるようになります。