H30 問13


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解説

ダイオードの動作に関する問題です。

ダイオードとは、順方向に電圧が印加されるとON、逆方向に電圧が印加されるとOFFになる半導体素子です。
(この動作を整流作用といいます)

ダイオードの動作自体は理解しやすいのですが、これが直流電源とともに交流回路に組み込まれると動作が複雑になります。

(a)-(e)の5種類の回路の出力電圧\(v_0\)の波形がそれぞれどのようになるかを考えるわけですが、
アナログ回路に精通していないと、かなり難しいです。

この問題を解くための手順を以下に示します。

ポイント0:抵抗とダイオードどちらに電圧が印加されるか把握する

ダイオードがOFF:電圧はすべてダイオードに印加される(ダイオードの抵抗は∞なので)
ダイオードがON:電圧はすべて抵抗に印加される(ダイオードの抵抗は0なので)

ポイント1:基準電位(V=0)となる点(GND)を自分で決める

回路が交流回路なので、0Vとなる点がはっきり決まっていません。
(直流回路だと電源のー側を0Vとすることが一般的です。)
ダイオードがONかOFFかを見極めるために、どこか基準点(GND)を決めて、
そこからダイオードに印加される電圧を把握することをおすすめします。

ポイント2:R=0として、基準点からみたダイオードの電位を考える

直流電源Eの電圧がどのようにダイオードに作用するかがポイントとなります。
ダイオードと直流電源の間に抵抗があると、ダイオードと抵抗それぞれに印加される電圧を考える羽目になり、
答えにたどり着けなくなります。

ポイント0より、ダイオードがOFFなら電圧はすべてダイオードにかかるので、
一旦抵抗は無視して、直流電源がどのようにダイオードに作用するかを考えましょう。

この作業で、ダイオードのOFF/ONの境界の電圧を知ることができます。

ポイント3:ダイオードがON/OFFとなったときの\(v_0\)を導出する

ポイント2で得られたダイオードのOFF/ONの境界の電圧より
ダイオードがONしたときの\(v_0\)、ダイオードがOFFしたときの\(v_0\)をグラフにしてみましょう。


実際のアナログ回路設計で(a)以外の回路を組むことはほとんどないと思いますが、
ダイオードの動作を理解するにはいい問題だと思います。