H29 問03


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解説

相互インダクタンスに関する問題です。
複数のコイルが近くに置かれると、それぞれのコイルが発生する磁束がお互いに影響し合い、インダクタンスが変化します。
このインダクタンスの変化量を相互インダクタンスと言います。

相互インダクタンスに関する問題では、ドーナツのような鉄の輪っかの周りにコイルが巻いてある図が登場します。
この鉄の輪っかは"鉄芯"と呼ばれ、磁束の通り道として働きます。
(鉄は透磁率が高く、磁束は透磁率が高いものの中を通るという特徴があります)

鉄芯の中を通る磁束はコイルの巻き方と電流の向きで決まります。
問の図1ではそれぞれのコイルから発生する磁束は向かい合い、磁束は弱まります。このような状態を"差動接続"といいます。
問の図2ではそれぞれのコイルから発生する磁束は一方向を向き、磁束は強くなります。このような状態を"和動接続"といいます。

ここで、磁束の向きを求めるには、右ねじの法則を使います。磁界の基礎知識なので、きちんと押さえておきましょう。

それぞれの接続のインダクタンスは以下のようになります。
差動接続のインダクタンス:\(L_{dif}=L_1+L_2-2M_{12}\)
和動接続のインダクタンス:\(L_{com}=L_1+L_2+2M_{12}\)

上記の式を見ると、\(M_{12}\)という成分が含まれます。これが相互インダクタンスです。
相互インダクタンスは接続状態により、符号が変わります。
差動接続では磁束が弱まるので負の値、和動接続では磁束が強くなるので正の値となります。

上記2つの式が分かれば、問題ではそれぞれの接続状態の合成インダクタンスが与えられているので、
連立方程式を解くことで、自己インダクタンスと相互インダクタンスの値を求めることができます。

差動接続と和動接続のインダクタンスの式は、各コイルの磁束の関係から導出することができます。
添付画像の右側のページで、補足として解説しています。

磁束とインダクタンスの関係の理解を深めることに役立てばと思います。
興味がある方は一読ください。