H29 問06


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解説

直流の電気回路に関する問題です。
直流回路なのに、回路にコイルやコンデンサが含まれているユニークな問題になっています。

問題に記載されている"定常状態"という部分がポイントとなります。
定常状態とは、十分時間が立ち状態が落ち着いていることを意味します。

コイルやコンデンサのインピーダンスは周波数に依存し変化しますが、
定常状態(周波数 0Hz)では、決まった特性を示します。
コイルの抵抗は短絡(0Ω)、コンデンサの抵抗は開放(∞Ω)として扱うことができます。

このことを踏まえて描いた等価回路が添付の図の右側の回路になります。
電源\(E\)に抵抗\(R_1\)、\(R_2\)が直列に接続された回路になります。

実際にはコイルやコンデンサは存在し、そこにはエネルギーが蓄えられています。
これら素子のエネルギーを求めるために、まず回路の電流\(I\)と各抵抗の電圧\(V_1\)、\(V_2\)を求めます。
それぞれの値は、\(I=2A\)、\(V_1=40V\)、\(V_2=60V\)となります。

次に各コイルとコンデンサに蓄えられたエネルギーを求めていきます。
コイルのエネルギーは電流で決まり、\(E_L=1/2LI^2\)、
コイルのエネルギーは電圧で決まり、\(E_C=1/2CV^2\)、
で求めることができます。

各素子のエネルギーは以下のようになり、
\(E_{L1}=\frac{1}{2}L_1I^2=0.04J\)
\(E_{L2}=\frac{1}{2}L_2I^2=0.08J\)
\(E_{C1}=\frac{1}{2}C_1V_1^2=0.32J\)
\(E_{C2}=\frac{1}{2}C_2V_2^2=1.08J\)

エネルギーの総和は、
\(E_{ALL}=E_{L1}+E_{L2}+E_{C1}+E_{C2}=1.52J\)となります。

定常状態(直流回路)のコイルとコンデンサのインピーダンスに関して、添付画像の右側に補足として少し解説をつけてあります。
コイル、コンデンサのインピーダンスはどちらも周波数に依存しますが、
コイルのインピーダンスは周波数に比例するので、直流(周波数 0Hz)ではインピーダンスが"0″となります。
一方、コンデンサのインピーダンスは周波数に反比例するので、直流(周波数 0Hz)ではインピーダンスが"∞"となります。

それぞれのインピーダンスは交流回路での振る舞いと矛盾することなく、
直流回路でも同じような働きをするということをおさえておきましょう。