H29 問15


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解説

ブリッジ回路に関する問題です。

添付画像の右上の図のようにひし形のように抵抗が並び、
並列に並んだ抵抗を横切るように配線した回路をブリッジ回路と言います。

ブリッジ回路ではとにかく対角に向かい合った抵抗の掛け算の値が一致すると、
抵抗を横切る配線には電流が流れないということを覚えておきましょう。

式に書くと、\(R_A\cdot R_D = R_B\cdot R_C\)ならば、\(I_D=0\)という関係が成り立ちます。

設問(a)の空欄は\(\dot{Z}\)に対抗するインピーダンス部分が入ります。
ここでは\(R_1\)と\(C_1\)の並列回路部分が該当しますので、
\(\frac{R_1}{1+j\omega C_1 R_1}\)が解となります。

次に、設問(b)について解説を行います。

インピーダンス\(\dot{Z}=R+jX\)としたとき、測定できる\(R\)と\(X\)について問われています。

問題のブリッジ回路に含まれる可変抵抗\(R_1\)と\(R_2\)の値を調整して、
未知のインピーダンス\(\dot{Z}\)を測定する場合、インピーダンス\(\dot{Z}\)がどのような条件なら
測定できるかということが問われています。

まず、平衡条件について振り返ってみましょう。
設問(a)で求めましたが、このブリッジ回路の平衡条件は、\(\dot{Z}\frac{R_1}{1+j\omega C_1 R_1}=R_2R_3\)となります。

この平衡条件の右辺がポイントで、右辺\(R_2R_3\)は実部のみ(虚部を含みません)となっています。
従って、平衡条件を満たすためには、左辺も同様に実部のみとなる必要があります。

そこで、左辺の式変形を進めていき、虚部が0になる条件が得られば、
それがインピーダンス\(\dot{Z}=R+jX\)の条件と言えます。

添付画像のように式変形を進めていくと、
(左辺の実部)=\(R_1R+\omega C_1R_1^2X\)
(左辺の虚部)=\(R_1X-\omega C_1R_1^2R\)
という関係が得られます。

あとは、問題で与えられる\(R\)と\(X\)の各条件で
(左辺の実部)\(>0\)かつ(左辺の虚部)\(=0\)が成り立つものを選んできます。

虚部が0にならない条件や実部が0以上を満たさない条件をつぶしていくと、
選択肢(4)の\(R>0\)、\(X>0\)が残り、この条件が解となります。

ブリッジ回路の平衡条件を知っていれば、あとは計算するだけですが、
計算が複雑で、最後に残る式の形も項がたくさん残ります。

計算があってるかどうか不安になるかもしれませんが、
式変形を進めるとこのくらいの形にはなるだろうという感覚が身につかないと、
この不安はなかなか消せません。

並列回路を含む交流回路の式変形はどうしても複雑な計算が必要になります。
似たような問題をたくさん解いて、慣れていくようにしましょう。