H30 問12


<画像クリックで拡大表示>
問題はこちら

解説

ローレンツ力に関する問題です。

クーロン力の問題と同じく、ローレンツ力に関する問題では力学の知識が必要になります。
しかも、クーロン力では直線運動に関する力学の知識があれば十分ですが、
ローレンツ力では、円運動に関する力学の知識が必要になるため、クーロン力に比べて難易度が上がります。

(補足)で等速円運動について簡単にまとめています。
難しいと感じる方は、高校の物理のテキストで復習をすることをおすすめします。

ローレンツ力は円運動と密接な関係があります。

電流=電荷の移動を意味します。そして、電流の向きと反対方向に電子は移動します。
この移動中の電子に外部から磁界が印加されると、電子の動きと磁界の向きに垂直な方向に力が働きます。
この力の向きはフレミング左手の法則で表され、この力をローレンツ力と呼ばれます。

ローレンツ力は\(\boldsymbol{F} =e\boldsymbol{v} \times \boldsymbol{B}\)という関係式で表すことできます。
この式の中で使われる\(\times\)は外積と呼ばれる演算子で、フレミング左手の法則はこの演算子と同じ働きをしています。
(外積の説明は画像を参照ください)

ローレンツ力のポイントは、電子の進む方向に対して、垂直な方向にその力が発生することです。

物体の進む方向に対して、垂直な方向に力が加わると、その物体の運動は直線運動から円運動に変化します。

すなわち、ローレンツ力は電子を円運動させる作用があるということが分かります。

以下にポイントをまとめます。

  1. 電流=電荷の移動を意味し、電子は電流の向きと逆方向に動く
  2. 移動中の電子に外部から磁界が印加されると、ローレンツ力が発生する
  3. ローレンツ力は電子を円運動させる作用がある

電流と磁界による物理現象は力学と密接に関わります。
電子は目には見えませんが、力学に基づいた動きをしています。

電気や磁界の物理(電磁気学と言います)を深く理解していくために、力学の知識が土台として必要になります。

電気の専門家だけで力学は苦手だという方はたくさんいらっしゃると思います。

しかし、力学を学び、電磁気学に精通していくことで、
電気や磁界のイメージがどんどん膨らんでいきます。

電気の専門性に深みをもたせるということができるという意味で、
すこしずつ力学、電磁気学にも触れていただけると幸いです。