R01 問12


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解説

電界中の電荷の運動に関する問題です。

電荷の運動に関する問題は、電磁気学の知識よりも力学の知識が重要になります。

高校の物理の知識があれば解けなくはないのですが、
微分積分を理解していないと、電磁気学と力学が結びつきにくいのが悩ましいところです。

過去問は解けるのに、問題がちょっと変わると途端に訳が分からなくなるのが、
この手の問題の難しいところです。

問題では電極の真ん中に電荷が到達するまでの時間が問われています。

高校の物理で習った距離と時間の関係を表す式をまずイメージして、
その式とリンクする電磁気学の公式をピックアップするという考え方がいいと思います。

というわけで、この問題では以下の公式を使用します。
(1)加速度と距離の関係(\(x\)は位置、\(v_0\)は初速度)
$$x=\frac{1}{2}\alpha t^2 + v_0t$$
(2)運動方程式(\(m\)は質量、\(\alpha\)は加速度)
$$F=m\alpha$$
(3)電界とクーロン力
$$F=qE$$
とにかく使えそうな公式が、脳の奥から引っ張り出せるかが重要です。
それができれば、あとは式変形を進めていくだけです。

点電荷に生じるクーロン力は\(F=qE\)、点電荷の運動方程式は\(F=m\alpha\)なので、
$$F=m\alpha = qE \rightarrow \alpha = \frac{qE}{m}$$
が得られます。

加速度と距離の関係より、
$$x=\frac{1}{2}\alpha t^2 \rightarrow t^2=\frac{2x}{\alpha} \rightarrow t=\sqrt{\frac{2x}{\alpha}}$$
が得られます。

先に求めた加速度\(\alpha\)と平板の中心\(d/2\)をこの式に代入すると、
$$t=\sqrt{\frac{md}{qE}}$$
が解として得られます。

電磁気学と力学をリンクさせていくためには、
力学に慣れることと、微分積分を道具ように使いこなせることが重要です。

微分積分という言葉がよくわからなくても、
物理量同士の関係が微分または積分の関係にあるということ知っておくだけで、
公式を丸暗記するよりも式同士のつながりがグッと強くなります。

補足として、加速度と距離の関係について微分と積分の相関図を作ってみました。
今、式の意味が分からなくても必ず役に立つ日が来ると信じています。
参考になれば幸いです。