R01 問15


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解説

点電荷と導体に関する問題です。

(導体)=(電子の集まり)なので、点電荷の近くに導体があると、何かが起こります。
問題を解いていく過程で、その何かをつかんでいきましょう。

設問(a)について

電気力線の特徴としてまず以下の3つは押さえておきましょう。

  • 電荷から八方向に均等に電気力線が出る/入る
  • 電気力線同士はぶつからない
  • 電気力線は折れ曲がらない

この3つが基本です。このルールさえ守れば電気力線は大体描けます。

そして、導体と電気力線の関係には特殊ルールがあります。
解析学(小難しい微分積分)を使って証明することはできるのですが、
三種の勉強している方にはコスパが悪いので以下の特殊ルールを押さえておいてください。

  • 電気力線は導体に垂直に交わる

なんで?と思う方はいらっしゃると思います。

この問題の導体部分を一列に並んだたくさんのマイナスの電荷に置き換えて、
電気力線を描いてみてください。

先の3つのルールを守ろうとすると、
それぞれのマイナスの電荷に入っていく電気力線は垂直になるしかないということが分かります。

というわけで、基本ルール3つと特殊ルール1つを守って電気力線を描くと解は(5)になります。

設問(b)について

設問(a)より、点電荷からの電気力線は導体に入っていくことが分かりました。

電気力線の向きは電界の向き、電気力線の密度は電界の強さを表しているので、
点電荷と導体の間には電界が発生しており、点電荷はクーロン力により導体に引きつけられます

導体が発生させる電界の強さが分かればいいのですが、
描いた電気力線で分かるのは電界のイメージだけなので、電界の強さの具体的な数値または式は分かりません。

問題をよく読むと、"点Oに固定した電気量\(-Q/4[C]\)の点電荷から受ける静電力に等しい"と記載があるので、
この条件を利用して、等価モデルを作成します。添付画像の中央部分の図を参考にしてください。

覚えていただきたいことは、導体付近の電界を計算するのは結構難しいということです。

電磁気学の教材では、しれっと点電荷を置いて等価的なモデルを作る(鏡像法)ということが
さも簡単そうに書いてありますが、そのままでは計算が難しいからそんなことをしています。

なので、理解ができなくても気にする必要はありません。
だって難しいんですから。

とにかく等価モデルができました。2つの点電荷\(Q\)と\(-Q/4\)があり、\(Q\)を動かすときに必要な仕事を求めます。

2つの点電荷の間のクーロン力を求めて、その力に逆らって動かした経路分だけ積分をすれば仕事となります。
力学と微分積分が得意な方は、クーロン力の公式\(F=Q_1Q_2/4\pi \varepsilon_0\)を知っていれば計算より導出することが可能です。

この解法については、添付画像の右のページで補足として記載しています。
興味がある方は参考にしてください。

仕事と言われてもピンとこない方は以下の2つの情報を覚えておきましょう。

(1)(仕事)=(電荷)×(電位)
(2)電位の公式\(V_{AB}=\frac{Q}{4\pi\varepsilon_0}\left(\frac{1}{x_A}-\frac{1}{x_B}\right)\)、\(x_A\):終点、\(x_B\):始点

(1)より、電位が分かれば、仕事は簡単に求めれるということが分かりますので、
(2)電位の公式を使って、\(-Q/4\)の作る電位を求めます。
$$V_{hz}=-\frac{Q}{16\pi\varepsilon_0}\left(\frac{1}{z}-\frac{1}{h}\right)$$

電位は\(1C\)の電荷を動かすときに必要な仕事を表しているので、
\(-Q/4\)の作る電位に点電荷\(Q\)をかければ、仕事が分かります。したがって、
$$W= Q \cdot V_{hz}=\frac{Q^2}{16\pi\varepsilon_0}\left(\frac{1}{h}-\frac{1}{z}\right)$$
が解となります。

導体の近くに点電荷を配置すると、点電荷は導体に引きつけられます。
そして、導体周りの電界を求めるのは難しく、等価モデルを作る必要があります。

この問題を通じて、これら2つのことが感覚的に身につけば幸いです。