H29 問07


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解説

直流回路に関する問題です。
問題の回路図は複数の並列回路が入れ子になった構造になっており、このような回路はラダー回路と呼ばれます。

まず回路の電流\(I\)を導出します。

ラダー回路の合成抵抗を求めるためには、電源から一番遠い並列回路から順番に合成抵抗を求めていきます。
添付画像の回路図に\(R’\)、\(R^{"}\)と定義して部分の合成抵抗を順に求めます。
\(R’=1\Omega\)、\(R^{"}=1\Omega\)、\(R=2\Omega\)となります。

合成抵抗が分かれば、電流は\(E/R=12/2=6A\)となるので
(ア)大きいが答えになります。

次に、電子の流れる向きについて問われています。

\(R_1\)の電流の向きは下から上になります。
電流の向きと電子の流れの向きは逆になるため、\(R_1\)の電子の流れる向きは
(イ)上から下になります。

次に、電源が供給する電力量と、抵抗\(R_1\)で消費される電力量の割合を求めます。

電力量は電力×時間で求められますが、
ここでは割合を求めるだけでいいので、時間は気にしなくて構いません。

それぞれの電力を求めます。
電源が供給する電力は\(P=IE=6\times 12=72W\)、
抵抗\(R_1\)で消費される電力は\(P_1=R_1I^2=1\times 6^2=36W\)

電力量の比は\(P/P_1=36/72=0.5\)となり、(ウ)0.5 が答えになります。

抵抗で生じる消費電力は全て熱として放出されます。
その結果、抵抗素子と周辺の空気の温度が上昇します。

また、熱の伝わりやすさは、物体が持つ熱容量と温度差で決まります。
従って、抵抗素子と周囲の空気の温度差が大きいと、周囲の空気に熱が伝わりやすくなります。

すなわち、周囲の空気に報酬する温度差に比例する熱を放出することになるので、
(エ)ほぼ比例 が答えになります。

最後の熱に関する問題は、理論では出題頻度は少ないですが、
熱力学の基礎的な内容なので、添付画像の右のページに少し補足を付けています。
熱の伝わりについて、直感的なイメージが身につけば幸いです。