H30 問04


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解説

円形導体ループが作る磁界に関する問題です。磁力線の振る舞いから磁界の強さを考えていくのがいいでしょう。

電気力線では電気力線の密度が電界の強さを表しています。
磁力線も同様でその密度が磁界の強さを表します。円形導体ループによって生じる磁力線は導体ループが作る輪っかを必ず通って、磁力線自体が大きなループを作ります。

したがって、導体ループ付近に磁力線が密集し、導体ループから離れると密度は小さくなります。その結果、導体ループ付近で磁界は強くなり、離れると磁界は弱くなります。

また、磁力線の向きは、導体ループを流れる電流の向きで決まり、問の\(x\)軸上では向きは変化しません。磁力線の向きは右ねじの法則で導くことができ、この問題では紙面の左から右方向となります。問で定めれた\(H(x)\)の向きと磁力線の向きが一致することから、導体ループによって生じる磁界の向きは正となります。

以上の情報から、選択肢(4)がこの問題の答えとなります。

(補足として)磁気に関する問題では磁力線と磁束という言葉が使われます。
この2つの言葉はそれぞれ物理的な意味を持つので同じ言葉として理解するのはよくないですが、一様な空間中では同じように振る舞うので、違いを意識する必要はありません。

磁性体(透磁率が大きい物質)が存在する場合、磁力線と磁束の振る舞いは異なります。この場合は、磁束の分布を考えるほうがイメージがしやすいです。

一様な空間では、磁力線、磁束どっちでもいい。磁性体が存在する場合は磁束について理解を含めているんだと思って問題と向き合ってもらえばいいと思います。

同様に、電気力線に対して、電束という言葉がありますが、電験3種ではわざわざ覚える必要はありません。電荷から電気力線が出るということだけ覚えておけば十分です。