H27 問18


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解説

オペアンプに関する問題です。
設問(a)の論説は分からなくても、オペアンプの回路の計算はできます。

電験ではそれほど重要な情報ではないので、他の単元の学習を優先してよいと個人的には思っています。

設問(a)

オペアンプの特徴として、イマジナリーショート(+端子と-端子の電圧は一致するが、+端子と-端子間には電流が流れない)はよく知られていますが、
なぜそれが成り立つかを説明できる方は意外に少ないと感じています。

一昔前にたくさんいたアナログ回路の設計者なら知ってて当たり前のことだったんですが、
電験の教材やアナログ回路の入門書では、オペアンプ=イマジナリーショートくらいの情報に留めており、
その背景には触れていないものが多いという印象があります。

設問(a)の論説でちょっとだけオペアンプの本来の特徴に触れているので、この機会に知識として習得しておきましょう。

まず、オペアンプの入力と出力を関係は以下の式となります。
$$v_0=A(v_+-v_-)$$
この式からわかるように、+端子と-端子の差をA倍して出力するというのがオペアンプの本来の機能になります。

ここでいう「+端子と-端子の差」という部分を言い換えると「差動成分を入力信号とする」と表現できます。

さらに、オペアンプには以下に示す3つの特徴があります。

(1)オペアンプの増幅利得Aはすごく大きい
(2)オペアンプの入力インピーダンスはすごく大きい
(3)オペアンプの出力インピーダンスはすごく小さい

実はこれらの特徴の(1)と(2)がイマジナリーショートを実現するための重要な要素となっています。
が、イマジナリーショートに関する細かい解説はいつか別の記事で解説させてもらいます。

設問(b)

設問(b)ではオペアンプ回路の出力電圧を導出します。

添付画像の右ページの中央(右側)の「オペアンプの特徴」を参照ください。
オペアンプ回路の計算では、イマジナリーショートという性質をうまく使って計算を行います。

イマジナリーショートの特徴は以下の2つです。

(1)\(v_+\)と\(v_-\)は一致する
(2)+端子と-端子の間には電流が流れない

ということで、イマジナリーショートを意識して計算をしていきます。

まず、添付画像の右ページの上部の図に示す点aの電圧\(v_a\)を考えます。
電圧\(v_a\)はイマジナリーショートにより、オペアンプの+端子側の電圧と一致します。
+端子はGNDに接続されているので0Vとなります。したがって、\(v_a=0\)となります。

次に、左側のオペアンプの出力電圧\(v_1\)を求めます。
ここで、計算を進めるにあたり、(点aに流入する電流)=(点aから流出する電流)という関係式を用いて立式します。
$$\frac{V_1-V_a}{R_2}=\frac{V_a-V_i}{R_1}$$
$$\frac{V_1}{R_2}=-\frac{V_i}{R_1}\,\,\rightarrow\,\,V_1=-\frac{R_2}{R_1}V_i$$
$$V_1=-\frac{100k}{20k}\cdot 0.5=-2.5\,\,\rm V$$

最後に、右側のオペアンプの出力電圧\(v_o\)を求めます。ここで、先に求めた\(v_1\)がオペアンプの入力信号となります。
$$\frac{V_o-V_b}{R_4}=\frac{V_b-V_1}{R_3}$$
$$\frac{V_o}{R_4}=-\frac{V_1}{R_3}\,\,\rightarrow\,\,V_o=-\frac{R_4}{R_3}V_1$$
$$V_1=-\frac{90k}{30k}\cdot (-2.5)=7.5\,\,\rm V$$

イマジナリーショートの性質と計算方法をきちんと押さえておけば、オペアンプ回路の計算はかなりシンプルです。
トランジスタ回路に比べて計算が容易なので、ぜひオペアンプ回路の計算が理論の試験の得点源にできるように
類似問題にチャレンジしてみてください。