R01 問04
<画像クリックで拡大表示>
問題はこちら
解説
磁気回路に関する問題です。
以下3つの公式をまとめておさえておきましょう。
- \(\Phi =LI\)(または\(\Phi =LNI\))
- \(L=\mu\frac{S}{l}\)
- \(\Phi=BS\)
鉄心内部の磁束\(\Phi\)の大きさを表す回路方程式を"磁気回路"と言います。
磁気回路の回路方程式は上記の公式を変形して以下のような形で用いられます。
$$NI=\frac{1}{L}\Phi=\frac{l}{\mu S}\Phi $$
ポイントは\(\Phi=LNI\)の式を変形して、\(NI=1/L\cdot \Phi\)とするところです。
鉄心内部の磁束に関する問題、すなわち磁気回路に関する問題が出たら、まず\(NI=1/L\cdot \Phi\)を立てましょう。
回路方程式の構築は必ずここから始まります。
習慣づけることで、磁気回路における電流、インダクタンス、磁束の役割が掴めるようになってきます。
問題では、透磁率\(\mu\)の導出が求められています。
磁束は与えられていませんが、磁束密度\(B\)は与えられているので、
磁気回路の式を変形して透磁率を求めることができます。
$$NI=\frac{l}{\mu S}\Phi=\frac{l}{\mu}B \rightarrow \mu=\frac{Bl}{NI}$$
上記\(\mu\)の式に問題で与えられている値をそれぞれ代入すると、\(\mu=3.2\times10^{-4}\)が得られます。
磁気回路について、少し補足の解説をしていきます。
先に述べたように、磁気回路とは鉄心内部の磁束の大きさを表しています。
言い換えると、外部に漏れだす磁束は完全に無視しています。
鉄心のインダクタンスが小さい場合、外部にたくさんの磁束が漏れ出し、内部の磁束は小さくなります。
反対に鉄心のインダクタンスが大きい場合、外部に漏れる磁場は少なく、内部の磁束が大きくなります。
また、電流は鉄心の内部/外部にかかわらず磁束を作るためのポンプとして働きます。
勘のいい方はお気づきかもしれませんが、電流、磁束、インダクタンスは、
電気回路の電圧、電流、抵抗のような働きをしているように見えます。
まとめると、以下のようになります。
- (電気回路の電圧)=(磁気回路の電流)
- (電気回路の電流)=(磁気回路の磁束)
- (電気回路の抵抗)=(磁気回路のインダクタンスの逆数)
インダクタンスについては、逆数が抵抗と同じような振舞いをするという部分は気を付けてください。
インダクタンスの物理的な役割を整理すると、コイルに電流を流そうとすると、磁束としてコイル内にエネルギーを蓄えます。
その結果、電流は小さくなります。
つまり、電気回路目線(電流を流したい)という観点では、インダクタンスは抵抗(流れを妨げる)として働きます。
一方、磁気回路目線(磁束を流したい)という観点では、インダクタンスは導体(流れを促す)として働きます。
磁気回路の仕組みが分かると、電流と磁束の関係がイメージしやすくなります。
この解説で磁束の理解が深まれば幸いです。